アイルランドと英国との関係 - アイルランド基礎知識①
こんにちは、コウです。
昨年(2019年)の夏に家族でアイルランドを旅行した際のことを紹介するブログの第4回。
アイルランドに関心を持つきっかけになったのが、80~90年代にかけての北アイルランド情勢が、たびたびニュースや映画などでも取り上げられていたことであったというのは、以前のブログにも書きました。
そこで、アイルランド旅行記の本題に入る前に、アイルランド近代の歴史的背景について、幾つかの観点から簡単に解説しておきたいと思います。
アイルランドはカトリックのキリスト教徒が9割以上を占める国ですが、16世紀のピューリタン革命で英国がプロテスタントによって占められたことをきっかけに、英国によるアイルランド支配が始まり、カトリック教徒は激しい弾圧を受けてきました。この弾圧、および19世紀半ばに発生したジャガイモの疫病による大飢饉の影響で、多くのアイルランド人が新天地を求めて海外に渡り、これが今や世界に8,000万人以上とも言われるアイルランド系の人々の祖先となったのです。
20世紀に入り、1916年のイースター蜂起では、独立を目指すアイルランド共和国派がダブリンの重要拠点を占拠したものの、英国軍の反撃により数日で制圧され、多くの指導者が処刑されました。このとき指導者たちが収容され、処刑されたのが、いまは観光地になっているキルメイナム刑務所です。
その後、1919~1921年の独立戦争の末にアイルランド独立に向けた英国との交渉がようやく行われ、プロテスタント教徒の多い北アイルランド6県を英国側に残し、また完全な共和体制でなく英連邦に残るとの条件を飲むことで、アイルランド自由国が誕生します。
そしてさらに第二次大戦を経て、ようやく1949年に共和国法を制定、英連邦からも離脱し、アイルランド共和国が成立したというのが、これまでの大きな流れです。
現代のアイルランド共和国と英国とは、深い経済的つながりで結ばれているものの、一方では400年以上に渡る英国支配の歴史と、その根底にあるカトリックとプロテスタントとの宗教的対立が、まだ色濃く残されていると言えます。
ブレグジット(英国のEU離脱)により、再び両国間の溝を深めることにならないことを祈るばかりです。